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VOL7. 年金改革に関する一考察
Date: 2004-05-20 (Thu)

 公的年金制度は、5年に一度大改正を行い、その見直しを図ることになっています。前回の改正が平成12年に実施されていますので、平成16年度中には5年ぶりに大改正の内容が決定されることになるわけです。今回の改正では基礎年金国庫負担割合の引き上げ、財政再計算の検証、保険料水準固定方式の導入、在職老齢年金制度見直し、短時間労働者への厚生年金の適用、次世代育成支援の拡充、女性と年金、年金税制などが大きな課題とされています。いくつか改正ポイントについての解説と私見を述べてみたいと思います。
 今回の年金改正案では、年金給付水準と保険料負担の見直し、生き方、働き方の多様化に対応できる制度の構築を基本コンセプトとして、その基本的仕組みの大幅な見直しを図るものとなっています。

  保険料の改定

 自営業者や学生などが加入する国民年金保険料は、現在月額13,300円であるが、今回の改正で毎年280円ずつ引き上げ、2017年までに月額16,900円に固定するとしています。ところが、年金は物価スライド制を基本にしていますので、将来の物価上昇率や賃金上昇率の推移によっては、2〜3万円になるとの予想もあります。また、「マクロ経済スライド制」を導入し、現役世代の少子化による保険料収入の減少があれば、それにしたがって自動的に年金の給付水準も下げる方式を取ることになっています。このことは現在の賦課制度(現役世代が年金受給者を支える制度)が根本的に制度疲弊していることを証明しています。そして、厚生年金についても現行の保険料率13.58%(個人と企業が折半)を毎年0.354%ずつ引き上げ、2017年には18.30%に固定されることになっています。さらに厚生年金加入者の枠を広げ厚生年金加入者の増大を図ろうとしていますが、企業特に中小、零細企業にとっては保険料負担が大きく、ただでさえ景気低迷で苦しい状況下にあるのに負担が大きすぎるとして、経済界では反対する声が多いようです。
 いずれにしても、個人にとっても企業にとっても負担が増え、給付が後退することは紛れも無い事実であります。今回の負担を国民が受け入れる条件としては、年金資産特に150兆円あるといわれる年金積立金の行方、グリーンピアに代表される社会保険庁の無駄使いの動向などには注視していく必要があるでしょう。

 女性と年金
昨今は離婚する夫婦が3組に1組あるそうで、熟年カップルの離婚率も上がってきている聞いています。会社員の夫と専業主婦が離婚する場合、現在の制度ではその主婦は65歳以降、本人分の老齢基礎年金しか受給できないことになっています。昭和61年に第3号被保険者制度ができ、保険料負担無しにサラリーマンの妻も基礎年金の受給の権利を持つことになりましたが、厚生年金本体についての受給権はあくまでも夫にありました。
ところが今回の改正により、第3号被保険者(専業主婦)を有する第2号被保険者(サラリーマンの夫)が負担した保険料は、夫婦が共同して負担したものであることを基本として、当該の夫婦が離婚した場合などには、妻が夫の厚生年金の2分の1まで受給請求ができることになりました。また、共働きの夫婦などでは夫婦の厚生年金を合算した額の半分まで分割が可能となります。離婚をする女性の生活を守るという観点からは画期的といえるのでしょうが、長い間企業戦士として戦い現役を退いたお父さん方にとっては、ますます肩身の狭い複雑な思いを持たれるのではないでしょうか。願わくはこの制度改革による熟年離婚が増えないことを祈りたいと思います。

 年金と国庫負担と議員年金
現在、基礎年金の給付のうち3分の1が国庫負担つまり税金が投入されています。今回の改正では、平成16年から国庫負担率を引き上げ、平成21年までに最終的に負担率を2分の1にすることになっています。引き上げの財源としては、公的年金控除枠の見直し、老年者控除枠の廃止などの年金課税方式の見直しなどによる増収分を当てることになっており、増収額は年間2400億円を予想し、地方交付税を除く1600億円を基礎年金に投入するようです。また、現在まで積み立てられてきた約150兆円に達する積立金については、超長期に振り分けられ必要に応じて取り崩していくことになっています。
ところで、いまメディアで騒がれている議員年金についてはどうでしょうか。議員年金のもともとの主旨は、退職金規定がない議員制度に退職金の代わりに支給するというこであったようです。行政に関わる組長(市町村長など)には退職金制度があり、任期中に支給される歳費の一定割合が退職金として支払われることになっています。議員年金の国庫負担割合が約3分の2程度とされており、その率の高さが国民年金とのバランスからいって不公平であるといわれる所以だと推察します。私自身、この国庫負担率についてはあまりにもバランスを欠いた割合であると感じ、見直しすることは当然であると思います。ただし、マスコミが取り上げる年金給付額の比較については、安易に信用しないようにお願いしたいと思います。ご承知の通り国民年金を40年間支払い、満額の年金を給付されたとして現価格で年額797,000円です。その基礎年金額と議員年金額をダイレクトに比べて議員年金がいかにも多額に支払われているように報道されています。しかし、私の例でいいますと、議員年金支払い分として月額76,700円、国民年金支払い分として月額13,300円、合計90,000円を毎月支払っていますので、月額13,300円の国民年金と議員年金の給付額を単純に比較するのは、あまりにも短絡的であるといわざるを得ません。ただし、25年間の支払い期間を超えないと給付されない基礎年金と、10年間あるいは12年間の支払い期間で給付権を受ける議員年金は優遇されているといえます。いずれにしても、市民の皆様にわかりやすく、公平な年金システムの構築が望まれていることはまちがいありません。
尚、その他の改正点の解説については、別の機会にあらためてご紹介したいと思います。